スーパーに行くたった数分の道のりでも、金木犀が嗅覚を殴ってくる。風に乗って届くいい香り〜なんてレベルではない。なあ、いい香りだろ?いい香りだよな?なあ?としつこく、胸ぐら掴んでつめよってくる。たまに屈して「めっちゃいい香り〜」と発してみるが、本音では、やりすぎだろ……と思っている。ショッピングモールの、エスカレーターを上ってすぐの場所にありがちな、香水やら何やらを並べている店舗でも、金木犀、金木犀、金木犀、金木犀……ちなみに、私にとっての金木犀ファーストインプレッションは「トイレの芳香剤」だった。20歳まで本気で、あの香りを嗅ぐたびに、「近くにトイレがあるんだな」と思っていた。あの香りは私にとって「おばあちゃんちのトイレのそれ」であり、赤黄色の金木犀と結びついてはいなかった。ミントの味を「歯磨き粉の味」と思うのと一緒だ。ミントはずっとミントとしてあるのに、歯磨き粉を通じてしか親しんだことがなければ、歯磨き粉だと認識してしまうのと同じだ。あれはトイレの匂いだ。ぼっとんトイレの強烈な臭さを覆い隠すためにある、強烈な「良い香り」なんだ。桜の樹の下にはアレが埋まっている!金木犀の香りの裏にはアレが隠されている!……そうと分かった今なら、素直に金木犀の香水いいじゃんと思います。
※2024年10月20日 note投稿